Heptares社 (StaR®技術と構造ベース創薬)

Heptares社について

Heptares Therapeutics(ヘプタレス・セラピューティクス、以下、「Heptares社」)は、英国のMRC Laboratory of Molecular BiologyおよびNational Institute of Medical Researchの研究成果を基に2007年に設立されたバイオ企業で、G-タンパク質共役受容体(GPCR)を標的とする革新的医薬品の研究開発を行っています。

Heptares社はGPCRをもととする創薬を可能とする構造ベース創薬(SBDD)のパイオニアであり、立体構造を解明することでGPCRを標的とする低分子、ペプチドおよび抗体医薬品を独自に探索する技術とノウハウを持っています。臨床の現場や生物学的な見地から、生体内での役割が既に解明されているにも関わらず、その立体構造を正確に把握することが技術的に困難なために医薬品のターゲットになりにくいとされてきたGPCRに対して、Heptares社の基盤技術を用いることで全く新たな創薬の可能性を開き、first-in-class/best-in-classの医薬候補品を生み出せます。

社名由来:ギリシャ語では“Hepta”は“7”を意味します。Heptares社の事業内容の中心となるGPCRが細胞膜を7回貫通することに由来して、“Heptares”と命名しました。

Heptares社の強み

1) GPCRを安定化する独自の技術とその立体構造解析を元にした、唯一の構造ベース創薬プラットフォーム

Heptares社のStaR®(Stabilized Receptor)技術は、GPCRの構造を任意の3次元構造に安定化させることのできる技術です。これにより得られたStaRタンパク質を用いたフラグメントベース創薬FBDD(Fragment Based Drug Discovery)および構造ベース創薬SBDD(Structure Based Drug Discovery)により、極めて選択性、親和性の高い医薬品候補を探索することが出来ます。Heptares社は既に10種類以上の受容体でX線構造解析に成功しており、さらにこれらの受容体においてSBDDを進める際に鍵となる、種々のリード化合物と結合した複数の立体構造を得ることに成功しています。また、これまでの技術では比較的困難であったGPCRファミリーの多数のメンバーについても、同社の技術によりStaRタンパク質として利用でき、これまでにない医薬品が生み出される可能性が期待されています。

同社の技術は低分子化合物にとどまらず、ペプチドを候補医薬品とした創薬にも展開が可能であり、さらにStaRタンパク質を抗原として用いることで、これまで困難であったGPCRに対する抗体を得ることも可能になります。

GPCRをターゲットとした創薬を行っている会社は他にもあり、その創薬技術も多岐に渡っています。しかし、それらの技術の多くが用いる界面活性剤などの条件下ではGPCRは不安定であり、受容体を安定化して構造解析を行うためには比較的大きなリガンドを用いる必要があるなど、SBDDの妨げとなることがあります。一方、GPCRの構造を変えずに細胞膜から取り出すことが可能であることや、比較的結合能の弱いリード化合物と結合した状態での構造解析が出来るなど、StaR技術だけが成し得る特徴もあります。さらにStaR技術はGPCRに留まらずイオンチャンネルやトランスポーター等の膜タンパク分子標的にも幅広く応用できます。

2)複数の基盤技術提携による安定的な収益の可能性

Heptares社は既に国内外の多くの大手製薬会社やバイオベンチャーと提携し、新規低分子および抗体を開発すべくStaR®プラットフォームを提携先のターゲット化合物に適応し、その対価として、マイルストン(総額10億ドル強、既に3千万ドル受領済み)およびロイヤリティを受領できる契約になっています。

3)有望なパイプライン

Heptares社のビジネスモデルの中心にあるのは、基盤技術を活かして独自に創薬を行い、自社パイプラインを構築することです。それらは何れもfirst-in-class、best-in-classとなる可能性を有しており、今後臨床試験を通じて有効性・安全性を証明しつつ、他社への導出・提携、または自社での開発・商業化を検討していきます。

Heptares社のパイプラインをさらに詳しく

GPCRとは

GPCRは7回膜貫通型の構造を有する受容体であり、生体内に約800種類存在することが遺伝子解析によって解明されています。その半数は匂いを識別するための受容体ですが、およそ370種は各種ホルモンやその他の生体内物質、神経伝達物質などの受容体として生理的に多様な機能を有することが報告されています。しかし、熱力学的に分子構造が不安定であることや、細胞膜から取り出すと立体構造を維持できないことなどから、医薬品開発の分子標的としての利用は限定的でした。

尚、市販されている医薬品の40%程度は約60個のGPCRが標的となっていますが、受容体立体構造を基にした緻密な構造ベース創薬により見出されたものではありません。
Heptares社の創薬技術により、医学的有用性が既知のGPCR標的に対するBest in Class、及び未知のGPCR標的に対してFirst in Class医薬候補品の創出が可能となります。

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